西太后さまと私

西太后さまとの介護生活を、女官の私がご紹介します。

小さな命

実は、保育園の園長という職歴をお持ちの西太后さま。

今では自分が幼児化していますが、それでも小さい人が大好きです。そこで狡賢い女官としては、ご機嫌を取る方法の一つにこの「かわいい」人たちを利用しています。

テレビでNHK「おかあさんといっしょ」とか、関西ローカルのニュース情報番組のラストで今日生まれた赤ちゃんを紹介するコーナー「めばえ」とか、無邪気でかわいい人たちが登場するのをお見せすると、西太后さまは、今、眉間に皺が寄っていたのに、すぐに目を細めてお喜びです。よし!作戦通り!!

他にも、スーパーなどで赤ちゃんを見かけると、「ほら、赤ちゃん!可愛いね~」と声掛けするとご機嫌です。

 

最近、老人施設を子どもが訪問したり、老人施設内に保育園を設置したりして、お年寄りと小さい子どもに交流させようとする動きが増えてきましたが、昔から祖父母に子守をさせるというのは普通にありました。祖父母に育てられた子どもの精神的な安定性を主張する人もいます。感覚的にそれは分からないでもありませんが、祖父母の人間性にもよりますし、科学的根拠はありません。

それでも、小さい人が遊びに来てくれることを楽しみにして、それを糧に心も体も頭も元気になるお年寄りも多いのは確かです。両親だけでなく、周囲の大人たちから愛され、大事にされ、可愛がられることは、子どもたちに悪い影響を与えるはずがありません。一石二鳥、お互いにWIN・WINです。

 

今日も、幼い子どもの命が奪われる事件が起きました。

これは仮定に過ぎませんが、その子の命が、多くのお年寄りの支えになったかもしれません。小さな命が、多くの命、魂を救ったかもしれないのです。

一方で、孫の世話が負担で困っているお年寄りもいます。

需要と供給というと薄情な感じになりますが、求められている命を、求められている場所においてあげる、というシステムがあればいいな、と思う次第です。

 

とにかく、今の児童相談所では子どもの命は守れない。これだけは間違いないです。児相で働いている人だけが悪いのではなく、構造上、今の社会と合わなくなってきているのです。お年寄りが子どもの面倒を見たり、子どもがお年寄りの世話をしたり、社会的に弱い立場の者同士がお互いを支えあうことで、思いやりや労りという心を育むことができる機能が、今の日本にあったらいいのに、と思います。