西太后さまと私

西太后さまとの介護生活を、女官の私がご紹介します。

西太后さまとお出掛け・その1

西太后さまは、ずっとお出掛けがお好きでした。

最近は、思うように歩けないことや、我慢が出来なくて待つことが苦手になってきたことが理由で、外出先で「早く帰りたい」と言うことも多くなってきました。

20年以上前から海外旅行も大好きで、特に中国はお気に入りで(西太后さまだけに)(笑)、これまでに一番多く訪問しています。

昨年末は、思い切って久しぶりに遠出をしました。

日本から、初めて東向きに飛行!なんと、今になってやっとハワイデビューをしたのです♪ ワイキキ中心でしたが、西太后さまと女官の「おのぼりさん」だったので、初めての事ばかりで、とっても楽しかったです。

今年に入ってからは、2月の北海道、6月の高知(生魚が苦手な女官なのに、初めて鰹のタタキをおいしくいただきました♪)と国内旅行も楽しんでおります。

年を取ると、お出掛けが面倒になります。お出掛けがキライ、苦手、とおっしゃる方も多いです。

でも、例え近くでもお出掛けすることは、感覚的刺激が脳に良い影響を与えます。いわゆるボケ防止になりますよね。

西太后さまと海外旅行に行くときに役立つ、ちょっとしたコツがあります。ご存知の方も多いでしょうが、「家族の記念にお婆ちゃんと一緒に初めての海外旅行に行きたいわ」なんて言う(限定的な)(笑)、予定をお持ちの方があれば、参考にして下さい。

 

【出発前】

初めての海外旅行、もしくは初めての行先の場合、一番無難なのは旅行会社のパックツアーの利用です。が、団体旅行の場合、みんなと同じペースで歩けなかったり、疲れても思うように休めなかったりするので、ちょっと心配です。

旅行会社のパンフレットから選ぶにしても、個人旅行タイプを選びましょう。

去年の西太后さまのハワイ旅行も、このタイプでした。ホノルル空港からホテルまでは現地係員さんが案内してくれました。他のお客さんを待つことなく、2人だけでタクシー移動。待つのが苦手な西太后さまにはピッタリです!

ちなみに、我が家では何十年も「近畿日本ツーリスト」のYさんという担当者にお世話になっています。どんな旅行がしたいか、何が好きか、などよく分かってもらっているので、結構わがままな相談でも乗ってもらうことができます。そこまでとはいかなくても、行先が決まっていても、いくつものプランを提示してもらえる親切な旅行会社の担当さんが見つかればベストですね。

 

私は他に、旅行会社を通さず、①航空会社から直接チケットを取り、②ホテルに直接か、ホテル検索サイトでお部屋を予約し、③オプショナルツアーを手配する、という旅行もします。中国や台湾などは行き慣れているので、必ず自分で手配します。

時々、西太后さまや私のお友達、私の恩師とかをアテンドして上海ツアー、台湾ツアーなどをしますが、それも基本的に私がすべて手配します。

 

①航空会社から直接チケットを予約するといいのは、「高齢者と一緒ですよ」というのを事前にアピールできることです。西太后さまは普段、杖を突くか、シルバーカーを押して歩きますが、事前に申し込んでおくことで、空港に行くと航空会社のチケットカウンターで車椅子を用意しておいてもらえます。たいていは、車椅子を搭乗口まで航空会社の人が押して行ってもらえます。車椅子だということで、出国検査も、搭乗も優先レーンが利用できます。もちろん、西太后さまお1人を航空会社のお任せするわけにはいかないので、私も女官として一緒に優先レーン通過です。ここが一番ラク~♪

あと、格安サイトじゃなく、航空会社で直接チケットを手配するメリットは、座席の優先指定もあります。後ろの方の席だと、狭い機内を西太后さまにたくさん歩かせることになるので、前の方を予約します。当日チケットカウンターで、より前の席が空いたからと、こちらから言い出さなくても航空会社の方から申し出て変更してもらうこともあります。事前に西太后さまが来るぞ、と機内のCAさんたちもご存じなので、優先搭乗後、機内の案内もとっても親切。何度か「本日はご搭乗ありがとうございます」とCAさんからウエルカムカードをいただいた西太后さまです。こういう風に、特別扱いされると、西太后さまはご機嫌です。旅の始まりがご機嫌だと、旅行中わりとうまく行きます。

 

②ホテルは、何度も行った都市であれば、自分が現地でどんな行動をするかが良くわかっているので、どこが便利なのかが自然と定まってきます。それは、例えば歩いて観光するぞ、とか、美味しい名物料理を食べるぞ、とか、人それぞれに旅の目的があると思います。それに合わせて、地下鉄の駅が近い場所、とか、食後歩いて帰れる場所、とかホテルの立地を検討することになるでしょう。

西太后さまと一緒の場合は、それプラスできるだけバリアフリーとか、タクシーの乗り降りが便利、とか、分かる範囲でスタッフが親切か、とかいくつかの条件が追加されます。

中国のいくつかの都市と台北、香港などでは、いつも同じホテルに泊まるようにしています。そりゃ常連になったら優遇されるでしょうよ、と思われるかもしれませんが、ビジネス利用の方々と違い、1年に一回行くか行かないかという程度の常連なので。行くたびにスタッフが交代していて、なかなか思うような優遇なんてされません。でも、基本的に親切なスタッフが多いホテルなら、一見さんでも親切にされます。もちろん、前回泊まった記録が残っていて、「おかえりなさいチョコレート」をお部屋に届けてもらったこともあります。

そんな私のオススメホテルは以下の通りです。

 ★北京→長富宮飯店(日本のニューオータニ系列なので日本語が通じます、朝食の和食は間違いない)

 ★上海→ル・ロイヤルメリディアン(地下鉄の駅、美味しいレストラン、ショッピングなど全部が徒歩圏内。何より朝ご飯が豊富で美味しいです)

 ★大連→日航ホテル(日本語が通じます。朝食の日本食が美味しいです。向かいのマッサージ店が便利です)

 ★台北→圓山大飯店(ホテル自体が観光スポットなので、お出掛けに疲れた時にもホテル内で時間が潰せます)

他にも便利で、バリアフリーだったりスタッフが親切だったりするホテルはあります。私は、事前に「高齢者と宿泊します」と知らせ、リクエスト(高齢者なので毛布をお願いします、高齢者なのでエレベーターの近くのお部屋でお願いします、など)をメールします。お返事をもらえたホテルだと、まずまず安心です。

 

③個人手配で西太后さまと旅行するときは、空港⇔ホテルの送迎と、1日貸し切り専用車を利用することが多いです。ほとんどの空港から電車などで市内に行けますが、荷物と西太后さまと一緒に移動するのは大変です。ここはもう自分のためにもラクしましょう。1日専用車は、西太后さまと一緒であっても、少し遠出することができます。せっかくの旅行ですから、歩けなくても観光はしたいですものね。疲れてきたら、好きなタイミングで休憩を入れたり、行先を変更したり、自由にできるのが魅力です。西太后さまに無理をさせず、それでいてちゃんと楽しんで、しかも女官もラクちんです。

オプショナルツアーの申し込みは、各旅行会社でも受け付けています。(ツアー利用者でなくても、オプショナルツアーだけを申し込むことができます)

他に、オプショナルツアー専門サイトもあります。私は「上海ナビ」や「台北ナビ」などの観光ガイド系のサイトも利用します。また、現地の旅行会社も日本人向けのオプショナルツアーを販売していて、日本語ガイド付きで意外に安いツアーもあるので、こちらもチェックすることをおススメします。

 

飛行機、ホテル、送迎、観光の準備が出来たら、いよいよ出発です♪